書籍「学校を辞めます」

書籍「学校を辞めます 51歳の僕の選択」(税込1320円)が電子書籍で再刊されました。

お申込みは、こちらから

https://www.amazon.co.jp/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%82%92%E8%BE%9E%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%99-%E6%B9%AF%E6%9C%AC%E9%9B%85%E5%85%B8-ebook/dp/B081GKS2HN

キンドル

ブックライブ

電子版発刊にあたって

「『心の病』教職員休職高止まり」という記事が目にとまった(2018年12月26日付朝日新聞)。記事によると2017年度にうつ病などの精神疾患、いわゆる「心の病」で休職した全国の公立小中学校などの教職員が5077人(前年度比186人増)だったという(文部科学省調査)。そして、この数値は10年前から毎年5千人前後で続いているとも報じていた。

僕が2006年に公立小学校教員を自主退職して、13年がたった。学校の労働環境は、私のいたころと比べて良くなっているのだろうか。

東京都教育委員会は、2019年5月23日、都立学校の時間外労働(サービス残業)について、原則として月45時間とを上限とすることを決めた。これまで都は、学校教員の残業の上限を過労死の労災認定ラインである月80時間に設定していた。それを減らしたことは当然として、「月45時間まで残業させてよし」としても一日平均残業時間は二時間以上になる。これで学校現場の教職員の過重労働の問題は、解消できるのだろうか。もとより、サービス残業自体を公に認めていいのだろうか。

僕は、今は現場にいないので学校の中のことは正確にはわからない。しかし、新聞を見ているだけでも学校現場が心配になる。それが、「電子版」発刊の一番の動機だ。

僕が自主退職したころ、学校は「教育改革」と称して大きく変えられようとしていた。僕が勤務していた小学校の場合、能力別授業、共通学力テスト、学校自由選択制、英語教育等の導入、教員には勤務評定の実質導入など、子どもたちにも教職員にも競争させることで学ばせる、働かせるという考え方が矢継ぎ早に教育委員会から降りてきた。この考え方は、東京都から始まり、今や全国に広まっている。

僕は、学校現場の労働過重の根本原因は「競争原理の導入」だと考えている。僕は、その導入過程の渦中にいた。この電子版がその頃のことを今一度振り返り、また知らない方には知っていただき、今の学校を見つめなおす一助になれればと考えている。(2019年10月)