「声をあげずにいられない」 石垣島住民投票実施義務付け訴訟、上告理由書等を提出

6月4日、石垣市内で「住民投票義務付け訴訟上告理由書、上告受理申立理由書提出」記者会見が開催された(主催:石垣市住民投票義務付け訴訟原告団、同弁護団)。

この裁判は、現在建設中の沖縄県石垣市平得大俣への自衛隊ミサイル基地をめぐって、同地域への基地建設の賛否を問う住民投票条例制定請求署名で石垣市自治基本条例第28条で定めた規定数である有権者の4分の1以上の署名が集められたにもかかわらず、市は「市長は~所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」(同条例28条第4項)を無視し住民投票を実施しないことに対しておこされたものである。裁判の経過は1審で「却下」(昨年8月27日那覇地裁)、2審では「棄却」(今年3月23日福岡高裁那覇支部)であった。

弁護団長の大井琢弁護士は、控訴審判決(今年3月23日)は「頭からしっぽまでめちゃくちゃ」と語った。例えば上告理由書では指摘する。「『(石垣市自治基本)条例28条1項及び4項は、石垣市の住民に対し、市長に住民投票の実施を請求することができる権利を創設した規定であると認めることはできない』(控訴審判決)との原判決の判事は、明らかに誤っており、憲法92条*に違反する解釈にほかならない。」また「~市議会による住民投票実施条例の制定を待たずに、市長に対し、~当該住民投票を実施するよう求めたりする権利を有すると解することはできない」(控訴審判決)は、「憲法94条**」に違反すると指摘する。

*憲法92条:地方公共団体の組織及び運営に関する事項は。地方自治の本市に基いて、法律でこれを定める。

**憲法94条:地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、および行政を執行する権利を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

大井 琢弁護士

この会見は、コロナで苦しむ石垣島で開催された。公共施設の貸し出しが相次ぎ停止される中で、この会見は実施された。それほど緊急を要した会見であった。原告の金城龍太郎さんは、「声を上げることしかできないかもしれないけど、それでもそうせずにいられない」と語った。また同じく原告の宮良央(なか)さんは、「憲法を無視して、間違えられたままで、僕たちはどういきていけばいいのか」と発言した。

今後は、この2つの理由書が最高裁で検討され、審理の俎上にのるかどうかにかかっている。

この運動に対して、石垣市議会議員(花谷史郎さん)が緊急声明「石垣市での民主主義の危機的状況に対する緊急声明」を発した。花谷さんはその支援を全国の地方議員に呼びかけ、現在138人の地方議員が賛同している。 そして金城龍太郎さんら3人が原告が新たに起こした裁判、「石垣市平得大俣地域への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票において投票することができる地位にあることの確認請求」訴訟(本人訴訟)の第1回弁論が7月20日、那覇地方裁判所(午後2時)で始まる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA