新作製作日誌・試写会

1月10日~11日と、新作の試写版を上映した。両日で10人の方にきていただき、ものすごくたくさんの意見をもらった。それは、一言では言えず。今、そこで討論したことを元に、毎日編集の最終作業に明け暮れている。

この試写会は、僕にとって、本当に貴重な経験だった。最初は、試写会という形式で新作映画について意見交換をもらうことについて、確固とした理由はなかった。しかし、やってみてそれがはっきりした。

その一つは、自分の殻をやぶること。編集が、ある程度いくと、僕のように一人ですべてをやっている人は特に、周りが見えなくなる。何を目指しているのかが、わからなくなるのである。絵描きの故戸井昌造さんの言葉を思い出す。「役者は、舞台の上では、自分が一番偉いと思わなければやってられない」、そうだと思う。だから、批判が必要になる。

二つ目は、製作者と鑑賞者が対等になれる。個々に感想を聞くと、どうしても、「観ていただく」という関係になる。批評は、相互討論でなければ、実にならない。

以前、原一男監督に僕の「国労バッジははずせない・辻井義春の闘い」の批評をもらった。辻井さんのお子さんを撮ったシーンで、僕は約束をしたわけではなかったので、下からカメラを向けていた。原さんは、「真正面からカメラを構えるべきだ」と話した。正論だと思う。しかし、彼は、「どうしてそのようなカメラアングルにならなかったのか」を聞かなかった。結論しか言わなかったのだ。だから、僕の心は、その後悶々したものだった。

批評される側の僕が、自立することも重要なのだと思う。その表れとして、試写会という形は、すごく良かったと思っている。

市民メディアが生まれたのは、個々がバラバラにされた結果でもあると思う。僕たちは、一人一人では闘えない。思想の、考え方の、共通項をどこかで作らざるをえない。そこが、とても難しく大変なところだ。映画作りは、その試行錯誤の現れだ。

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