龍太郎さんの意見陳述~「あなたはこの署名と向き合えますか?」

12月21日、すでに工事が進行している石垣市平得大俣地区への自衛隊建設をめぐって、市民が住民投票の実施を定めた(当時)石垣市自治基本条例に基づき署名を集めたにもかかわらず市が住民投票を実施しなかったことを訴えた石垣市住民投票当事者訴訟第2回弁論が開かれた(那覇地方裁判所民事第2部・福渡裕貴裁判長)。

報告集会要旨・小林弁護士の解説
報告集会(全)

この裁判に先行して石垣市長には住民投票を行う義務があることを訴えた「住民投票義務付け訴訟」は、すでに今年8月25日上告棄却されていた。しかしそれまでの判決の内容は、市民の訴えの根拠である「石垣市自治基本条例」の中身を問うものではなかった。おまけに、その「自治基本条例」も今年6月、たった1日の石垣市議会本会議で住民投票部分の削除がなされてしまったのである。全国には各地に自治基本条例がある。また最近では東京都武蔵野市で住民投票に在日外国人の参加を加える案が議会で議論されている。このような中で争われている石垣市のこの裁判は、地方自治のあり方を問う全国的な意味を有するものである。

この日は、当事者訴訟原告であり「石垣市住民投票を求める会」代表の金城龍太郎さんの意見陳述があった。龍太郎さんは、陳述でこう述べた。「この(住民投票を求める)署名*には、署名をしてくれた人の計り知れない勇気と音を持たない叫び、希望を紡いでいくような祈りが込められています。個人情報保護の流れが強い今の社会情勢で、氏名、住所記入から押印まですることの重みを想像していただきたいと思います。『あなたはこの署名と向き合えますか?』、皆さんに問います。私自身も自分に問いかけてきました。そこから逃げてしまわないように、私も必死に声を上げ続けています。」

金城龍太郎さん

裁判は、「今日議論の確認の場の設定ができたので、これから本格的な議論が始まる」(大井琢弁護団長)。

*「石垣市住民投票を求める会」が集めた署名数は、14263筆(2018年12月)。これは、石垣市の有権者の三分の一を超えた。当時の石垣市自治基本条例には、有権者の四分の一を超える署名が集まれば石垣市長は「所定の手続きを経て住民投票を実施しなければならない」とあった。

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