沖縄県石垣市議選 かってない厳しさの中で野党候補はたたかった

沖縄県石垣市議会議員選挙(9月11日投開票)は、来年3月に陸上自衛隊ミサイル基地の完成が計画されている中で闘われた。4年前の前回の市議選時には、基地工事がまだ始まっていなかった。また市の有権者の3分の1という数の署名が集まった石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備の是非を問う住民投票も始まっていなかった。今回は、明らかに状況が違っていた。マスコミはこぞって「今回の争点は、基地ではなく、中山市政の評価」と宣伝した。

野党候補者の合同打ち上げ(9月10日・石垣市内)

基地建設が始まってからの3年間で基地建設をめぐる様々な問題が露呈した。第1に石垣市が自ら定めたに石垣市自治基本条例に有権者の4分の1以上の署名が集まれば、「市長は住民投票を実施しなければならない」という規定を完全に無視した。第2に裁判所が、この市の行為を肯定する判決を出した。第3に自然環境に多大なる影響を及ぼしていることが明らかになった。それは、例えば国指定特別天然記念物のカンムリワシの営巣が確認されても工事が続けられたことや、基地を経由した水が垂れ流しで私有地に流され、それが飲料水、農業用水に影響を及ぼす可能性が市民や野党議員から指摘される中、市当局は調査の必要性を語らないわけにはいかなくなったことなどだ。しかし、市議選直前に暴発したともいえる米中対立問題が浮上した。アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問が、中国の台湾付近での軍事演習の口実となった。その間日米は合同軍事演習を継続し、日本政府は来年度防衛予算の大幅増額の方向性を打ち出した。

このようなかってない情勢の中で闘われた石垣市議会議員選挙、結果は大変厳しい状況であった。基地建設をすすめたいという議員が13人から15人に増えた。一方基地は不要と主張する議員は、9人から7人に減った(議員定数は、22人)。特に、基地反対を主張してきた現職議員3人の落選は大きい。この原因には、①台風の直撃で、浮動票の伸びが弱かったこと、②直前の米中対立で自衛隊が必要という市民の世論が増えたことが考えられる。しかし困難な中でも自衛隊基地問題について強く訴えた野党候補はいた。

内原英寿さん当確(9月11日午後11時20分ごろ・内原候補自宅)

来年3月の石垣島自衛隊基地完成を大きな節目として、今後も石垣市民の闘いは続く。日本政府の軍事力強化の具体的な現れが琉球弧の自衛隊基地建設である。今後この問題を石垣島だけの問題にとどめず、全国の問題として継続して検討していくことの重要性は、今まで以上に増しているといえる。

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