「海洋放出は安全」チラシを全国の学校で配布   菊池福島県教組副委員長に聞く

政府(経産省、復興庁)は、全国の小、中、高等学校に福島第一原発汚染水の海洋放出を後押しするチラシを昨年12月におろした。

菊池福島県教組副委員長
経産省発行チラシ(小学校向け)
復興庁発行チラシ(中・高生向け)

チラシの内容は、「浄化処理した水を安全に処分していきます。」(小学校向け)、や「トリチウムの健康への影響は心配ありません」(中、高向け)と政府が2023年度に実施しようとしている福島第一原発の汚染水の海洋放出を後押しする内容。それを配布したのは、全国47都道府県の約3万7000校に約231万1000枚である(日教組の調査による)。

この経過について福島県教組の菊池ゆかり副委員長に聞くと、「ほとんどの学校現場では、その事態を知らない教職員がほとんど」であるという。というのも、このチラシが文部科学省発行の「放射線読本」(写真)と同梱されて各学校におろされ、さらに昨年度の1年生のみに配布されたため他学年の教員が知りうる環境になかったからだ。

それでも事態を察知した学校現場や自治体では、配布の見直しや回収をするところも出た。福島県いわき市では市教委が学校保管を依頼、宮城県では35市町村中10市町村で配布見合わせもしくは、回収か保管を指示した(河北新報 2022年2月20日)。

福島県教職員組合は県にチラシの回収を要請、県は回収には応じなかったものの「文科省に配布方法の不備(県教委にチラシの同梱を知らせなかった点)について指摘」した。菊池副委員長は、「県が文科省に物言うことはまれ」と話す。福島県教組は、県教組発行の「教育新聞」で現場教職員に放射線副読本とチラシの問題点を明示している。(4月16日取材)

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